病院を堪能している。
消灯後のフロアで缶のブラック珈琲の香りを楽しみながら。
ジャズを聴きながら。
ジョン・コルトレーンを持ってきておいてよかった。
私はこの入院、楽しみにしていたところもある。
しょっちゅう胸が痛かったし、張って違和感があって、ときどき「これはまずいぞ‥危ないかも」ということがあったし。
これが改善されるのには非常に安心感がある。
手術なさるのは最高にすばらしいドクター。
天才。
大ファン。
私が同性をほめることはまずほとんど、まったくといってないけど、このドクターは私が心から「先生」と呼べる非常に数少ない方なのです。
だから楽しみ。
今回の手術が終わったとき、私の人生の本当の第2章が始まるような予感がしています。
じっとしている。
ただじーっとしている。
カーテンの引かれた病室で。
病室でじっとしていると「ここでこうしていていいものか」と不安になる。
何か取り残されたような。
ただ、ここにこうしてじっとしていると、何かわるいものが私を探し回っていたとしても見つけられない、という安心感もある。
数年、あるいは十数年、数十年に一度とか、人を魔物が探しにくるという。
そうした時を察知できる場合、人はただ、戸を締め切った薄暗い小部屋で、戸口すべてに護符とか貼って、ただひたすら息をひそめ、時が過ぎ去るのをじっと待つのだ。
私も今はまものとかにちょっとでも目を付けられないように、ただひたすら病室でじっと息をひそめているのだ。
こうしてここ2日で3.2キロ体重をへらした。
塩を控え、食事前に水を飲み、野菜をよく噛んで食べ、炭水化物を控える、と。
あと睡眠。
睡眠は体重が落ちる。起きているときより落ちる。
さらにロト数字を眺めひたすら考える。
今は、旨い珈琲が飲みたいな。
残念なことは、ロト、予想しても購入できないこと。
これは残念だ。
そんな病室での話。
明日入院でも、気持ちはカフェに。
それは手術は心配。
ですが、今のひとときは、気持ちをカフェへ。
カフェとは、私がいずれ開店するカフェのことです。
バイクでカーブを曲がる際には、視線を先に置くことが大事。
とりあえずは気持ちを先に置いて、冷静に。
そして私は明日、病院に向かう。