小さい袋のかっぱえびせんを食べると思い出すことがある。

それは小学校低学年のころのこと。

かっぱえびせんは、カルビーで出しているのですが、当時、カルビーから、かっぱえびせんの原材料からエビを除いた材料で作られた「ライダースナック」というものが販売されていて。

そのライダースナックとは、仮面ライダーをキャラクターとした袋に入り、小麦粉でできた、甘いコーティングがされた丸い形のスナックで。

それも、すぐ飽きる味で、子ども心に、「なんでこうおいしくないのだろう」と思う味のスナックで。

でも、そのスナックには、買えば袋に入った「仮面ライダーカード」というものが付いてきて。

そのカードは不透明の袋に入っていて、スナックを買うとくじ引きみたいにお店の人から1枚もらえるシステムになっていて。

当時の多くの子どもたちは、その仮面ライダーカードでいいカードを集めたくて、おいしくもないライダースナックというものを購入していたのです。

そして、多くの子どもたちは、そのスナックのおいしくない味もあって、スナックを口に入れて粉にして、フーッと噴き出して遊んだりしたものなのでした。

まったく、ライダースナックとは、かっぱえびせんと対照的においしくなく、すぐ飽きるお菓子なのでした。


そんな中、私よりも年上の子どもとかが、ライダースナックが売られているお店のおばあちゃんが、よく目を離すのをいいことに、スナックを一つ買う隙に、ライダーカードを複数枚かすめる、いわゆるカードだけを多目に万引きすることをしだしたりして。

それを知った私の同年代の子どもたちも、そのお店のおばあちゃんが、目を離す隙を見計らい、ライダーカードをガバッと万引きするようになりだして。


私は本当にいやな感じを覚えたものでした。


でも、私は決してそうした風潮には染まらなかった。おばあちゃんが目を離そうが離すまいが、そうしたずるい行為は決してしなかったし、する気にもならなかった。


それは、警察に捕まるとかばれるとか、そんなことを理由とするのではなく、もっともその年代では警察に捕まるという概念などなかったわけなのですが、とにかく、ずるいことはしない、ぜったい。それは悪いこと、という感覚が備わっていたからだと思う。

そうした気持ちというのはどこから来たのか。

それを考えると、それは親からのしつけ、教育なのだろうと思う。

親から、お金を払わず物を持ってきたり、きまりごとを破ったりするのは悪いこと、決してやってはいけないこと、と教えられた記憶はない。思い出せない。
でも、そうしたことを思い出せないくらいの幼少のころから私は、ちゃんと親、とくに母親からしつけや教育をされていたのだと思う。

思えば、そうした親からの教育、親のしつけがしっかりあったことがありがたいし、つまらない当たり前のことではあるけれども、私は誇らしいことだと思っている。