ときどき、昔の風景の夢を見る。

私が幼少の当時の目線で見た風景とか、懐かしい風景とか。


そうしたときの風景は、低い視点からの風景で、大人になった現在感じる距離感よりもかなり広大に感じる距離感のある風景で、やはり幼少のころの視点なのです。

そしてその風景を見て感じる感覚も、幼少のころの不安とか畏怖とか、例えば物陰から妖怪が出てくるんじゃないかと思えるような怖さとかがあって、大人はちゃんと大人大人していて、やっぱりちゃんと幼少のころの視点なのです。そんな視点からの風景を背景とした夢をときどき見るのです。


そのときの気持ちはとても懐かしく、もの悲しく、怖く、薄暗く、純粋で、夢から覚めるととてもしんみりとした気持ちになるのです。



あのころからはるか、はるか遠くにきてしまったものです。

めったに感動も味わえない、恐怖も、わくわくすることも、地面の石とか草花、虫とかにも感動しない、気づかないような大人になってしまったものです。


でも、夢の中ではときどき幼少のころに戻って、やさしい気持ち、純粋で素直で初々しい気持ちになることができる。それも、すっかりまったく幼少のころに戻って、大人である現在があることも感じさせない純粋な気持ちになることができる。



たまにちょっと見る夢のなかでこうした世界を見ることができるのなら、いつかあの世に行くときにはもっともっと鮮明に、ありありと戻ることができるのではないかととても楽しみに思っている。