息をとめて、物語の世界に潜らなくても大丈夫。存在するものはやがて皆、幻へと還るのだから。待たなければならない感情を待つ時間は長いけれど、永くとも人生を費やす意味はある。だから、この世界では幻と呼ばれている真実を、ここに立って待つ。頭の中の菱形の箱を、ひとつひとつ包みながら。予測変換の中に紛れた、知らない言葉をつかまえるように。