「恋愛って貰った分を返すのが綺麗な色になるとは限らないと思うんだ。天秤にかけて釣り合うようにするんじゃなくてね、例えば目の前にフラスコがあるとするでしょ?お互いの気持ちを同じだけ注いだからってそれが綺麗な色になるとは限らない。どちらかが多い方が綺麗な色になることだってあると思うんだ。美紀は天秤にかけてるけど、それって損得勘定があるってことだよ。少しずつでいいから俺は美紀のそういうところを変えていきたいな。」
私は天秤にかけて自分が損をしないように、相手が損をしないように、と意識していた。それがいい恋愛、綺麗な色と思っていたけれど言われてみればそうである。
貰った分を返すというのは後腐れもないし、貸し借りがないからか負荷を感じることはない。
そもそもにしてその貸し借りという観念が違うのだけど。
恋愛以外でも等価交換をベースに生きてきた私にとってそれは衝撃的で恐怖すら感じるものだった。
コウの考え方は無条件で注ぐ愛情、アガペーというのだろう。
つまり私の愛情はエロスというところか。
キリスト教徒ではないけれど見返りを求めているものとそうでないものの差をありありと感じた。
器が違う、とさえ。
恋愛に限らず価値観は様々であり、そこには経験からくるものや環境も関与していると思う。
…ほんのちょっとだけでいいから。
世界に優しさが溢れてほしいな。
話題:それぞれの恋愛観