可愛い。
あまりその言葉を使う事は無いし、使う日が来るとは思ってもいなかった。
それなのに。
今日も灯色が可愛い。
昨日はケンカをしてしまったけど、その怒ってる顔、態度が可愛かった。
(それを言うと顔を真っ赤にして更に怒るから言わないが)
ケンカして、仲直りした時、震える声で涙目になってたのも可愛い。
今日は昨日のケンカもあって、甘えた風な態度で可愛い。
キュッと俺の小指を握るの、可愛い。
身長の差で、首を傾げて見上げてくるのも、あざと可愛い。
そういえば出会った頃から、意識してはいなかったが、可愛かったかもしれない。
それを裏付けるように、灯色が男子に呼び出される頻度も半端なかった。
その殆どは俺が追い払っていたけど。
…その時から灯色は可愛かったのか。
妙に納得して、灯色に目を向けると、あざと可愛い表情でこちらを見上げていたそれと目が合う。
小指を握る手に力が入ったのが分かった。
あぁやっぱり…。
「お前、可愛いな」
「っ!なに、突然!?」
驚いたように目を丸くする。それも可愛い。
握っていた手を離されそうになって、慌ててその手を掴む。
そしてそのままソファに押し倒した。
無性に甘やかしたくなった。
こんな俺が居るなんて、昔からは想像もつかない。