21:55 2016/7/20 (0)
私が保育園を卒園するころに
生きる順番を知った。
あれは保育園から帰るとき
お母さんの車の中。
赤ちゃんになって子供になって
大人になっておばあちゃんに
なって…それまでが教えて
もらったのだけど、
そのあとがわかんなくて、
「おばあちゃんのあとは
どうなるの?」と聞いた。
そうしたら
お母さんが少し考えて
「しんじゃうんだよ」
と言った。
死ぬ意味の分からない私は
「どうなっちゃうの?」と
言うと
「いなくなっちゃうんだよ」
と言われて
なんとなく意味の分かった時の
衝撃は今でも忘れない。
自分がいつかいなくなって
しまうんだと思うと果てしない
恐怖にさらされたことは
今でも忘れない。
とてつもなく不安になり
「そんなの嫌だー!」と
叫んでから、お母さんが
何を言っていたのかはもう
覚えていない。
でもあの日は確か、雨が降っていた。

6歳を過ぎたころに私は
初めてひいおじいちゃんを見た。
家族とばあちゃんたちと
車で何時間もかけて行った。
私は初めてみたけど、
ひいおじいちゃん達は
私のことは生まれたぐらいに
会ったことがあるらしい。
あの時はまだ死ぬ意味とか
実感とかあまりなかった。
初めてひいおじいちゃんと
会った時は病室で
もう死ぬだろうと言われたとき
だった。
真っ白い病室で見たこともない人が
苦しそうに喋っていた事は
今でも忘れない。
ひいおじいちゃんだよ、と
言われても何もわからないし
どうしてこの人がこんなに
苦しんでるのかも
その時の私は何も分からなかった。
ひいおじいちゃんが私の顔を
見て何かを話したけど、
私にはとても聞き取れなかった。
でもすごく泣きそうになった。
怖いんじゃなくて何か
とんでもないものをみてる
気がして、可哀想みたいに。
「なんて言ってるの?」と
ばあちゃんに聞いたら
「ゆか大きくなったね、て
いってるんだよ」と言われて
また泣きそうになった。
でも知らない人の前でこんなに
泣くのも恥ずかしくて、こらえて、
結局病院を出るまで泣かなかった。
ばあちゃんと手をつないで
何か言わなきゃと思い、
元気になるといいね、と言ったら
「そうだね」と返されたけど
ばあちゃんすごく悲しい顔をした。
ばあちゃんとそのまま
病院を出るとすごく晴れていたこと
を覚えている。




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