2014/4/23
Wed
20:40
空、地平線2
話題:自作小説
続き。
(神視点にしました。)
******************
「協力のほど、感謝する」
「この作戦がうまくいくことを願ってる」
ミウェイザとハンニバルが互いに握手をしている傍らを一人が走り抜けていく。
それはパメラへと向かっていったヘンリーだ。
「パメラっ」
「ヘンリー……!」
生き別れた兄弟の再会が如く、二人は周りの目も気にせず抱きしめあった。
微笑ましい光景だが、さすがに今この状況を考えるとマズイと思った両軍の長が引きはがした。
「ルシーフ、やめろ。あの方に見られるとマズイ」
「ハル、ハル!せっかくの再会を喜んでるところ悪いんだが、あとにしろ」
はーい、と残念そうに返事をする二人。
そして互いに目が合うと悪戯な笑顔を浮かべた。
簡単な挨拶とブリーフィングが終わった後二人は一緒にコーヒーを飲みながら会話に花を咲かせ、話をしているうちに相手が少し変わったことを認識した。
性格、生活環境、思考回路、口調。
15年という月日は互いに知らない未知を生み出した。
それを心のどこかで否定したかったが、それでも辛うじて肯定できた。
「そうだ、ヘンリー。これ」
そう言いながらパメラは首から下げた認識タグの一つを取ってヘンリーに渡した。
「一枚交換しよう」
「いいよ」
こうすることを予感していたのか、二人とも余分に認識タグを作っていた。
そのことが少し開いた距離を縮めた気がした。
「生き残ろう」
「うん」
二人は拳を合わせた。
コメント(
0)
back
next
[このブログを購読する]
このページのURL
[Topに戻る]