「……おはよう」
その人が現れた瞬間、一瞬サークル室の空気が止まった。多分、今期初めてとかそんな感じじゃないだろうか。一瞬遅れて石川先輩が入ってきて、2人は隣同士の席に落ち着く。
緩やかにパーマがかかった背中まである焦げ茶の髪に、華美な服装とメイク。耳元には大きなピアスが揺れる。見た目はド派手なのに、それ以外の態度はむしろ慎ましい。
石川先輩との様子を見ていると、この女の人は3年生の先輩なのだろうと推測することが出来る。UHBCでは幽霊部員も珍しくないと聞くから、きっとこの人もそんな感じなのかもしれない。