例によって遅れてきた野坂の顔色は、あまり良くなかった。その青白い顔の原因が遅刻をしてきたことに関する反省であるなら信用ならないけど、とにかく尋常じゃない。
夏合宿に向けて対策委員の活動は活発化していた。会議に次ぐ会議。今は班編成をしていく段階。アナウンサー3人ミキサー3人の班を作っていくのだけど、これが結構難しい。
「野坂も来たことだし、各大学の参加者名簿を擦り合わせようか」
アタシがそう会議を進めようとしたところで、野坂が頭を机に伏せた。具合が悪いなら無理しないでよとみんなが心配し始めるほどには深刻な様子。
そういうんじゃないから大丈夫だ、と野坂は向島大学分の名簿を差し出してくれた。はい確かに。受け取ったそれを机の上に広げて行って野坂の様子の意味が分かる。