丸の池の前ならテスト期間だからともかく、大学祭の前は普通に授業がある。どうでもいい授業ならともかく、ゼミはサボるなって前々から釘を刺されまくってるし。
本来ならゼミの時間だろうとその気になればステージのことを考えていられるけど、何なんだろうなマジでここの教授鬼だろ。よりによって発表をぶち込んでくるとか確信犯じゃねーか。
「おはよー、ひいっ!」
シャーペンを持った右手は用意した発表資料の上、同じくボールペンを取った左手は台本の上でそれぞれ動かす。どちらがガチなのかは両利きとは言え左メインであることからお察しいただきたい。
恐る恐る。そんな様子で音を立てないようすとんと席に着いた伏見は、俺の様子をチラチラと窺っている。お前が何かしたところで今更機嫌を損ねたりすることもないが。