「大変だ、これは事件だ……」
「いかが致しましたか、菜月先輩」
「卵の値段が高騰している」
机に立てた両の肘、そして顔の前で組まれた指の上から突き刺すような眼光。菜月先輩の仰る事件、卵の価格の高騰というのは確かに1人暮らしの方には大事件かもしれない。
それでなくても菜月先輩は卵料理全般がお好きでいらっしゃるし、炒り卵やオムライス、チャーハンにもたっぷりと卵を使われる。食パンに挟んでサンドイッチにすることもあるそうだ。
卵消費量の多い菜月先輩だけに、テレビのニュース曰く夏から続いたらしいこの価格の高騰にはついに我慢の限界が来たのかもしれない。
「はー、間に合った! おはようございます」
「あっ、烏丸さんおはようございまーす」
バタバタと情報センターの事務所に駆け込んで来たのは烏丸さん。そんなに急がなくてもまだ利用者が多くて大変だーってワケでもないのに、真面目だなあ。
B番はまだ林原さんがいますし急がなくて大丈夫ですよーと言えば、ユースケに迷惑かけちゃう、とまたバタバタと急いで支度を始める烏丸さんと言ったら。
「烏丸、来たのか」
「あっユースケ今代わるよ! ごめんね遅れちゃって!」
「いや、今いる利用者は利用態度もいいし放置でも問題ないくらいだ。オレはどちらにしても春山さんが置いていった書類仕事を片付けねばならん」
ご無沙汰
どうもこんばんは、エコです。
明日はいい風呂の日ですがあずみんの誕生日ですね。
とは言えあずみんはここんところご無沙汰。
せっかくミソノやマミさんといったキャラが美術部に来てくれたんだけどね……
佐藤ゼミの話もなかなかないしあずみん……
あっずみーん
放送に絡んでないとね、やっぱり。
部活の方もメインまたはそれに準ずるキャラがもう一人いないとキツイかな。
鵠さんなんかはGREENsで慧梨夏がいたりするから比較的機会に恵まれやすいけど
今年はサドニナの乱も落ち着いてたしな……隔年選手で頑張ってもらうか
やっぱり年度ごとに同じナノスパでも色が出て来るね。
「あれー? あーさーかークーン、おーい」
インターホンを鳴らしても返事はない。今日は1日バイトだけど夜の7時には家にいるって聞いてたから来てみたのに。もしかして残業にでもなっちゃったかな。
手に提げた買い物袋には、簡単な夕飯と酒に合うおつまみを作れるだけの材料。今日は俺もバイト休みだし、朝霞クンの部屋で飲もうかっていう約束をしている。
「うーん、電話してみようかな」
階段の踊り場から見える駐車場には、1台の軽自動車。もうすっかり日が落ちるのも早いし、気温もグッと下がって来る。朝霞クーン、早く帰って来てー。
ケータイを耳に当ててみるけど出る気配がない。出られない場所にいるのかな、電車の中とか? 仕方ない、もうしばらく待とうか。
カランカランと鳴り響く鐘。本来なら嬉しい音色のはずなのに、それが運んでくるのは一抹の不安。狙いとは少し外れてしまったのもある。そして、ずっしりとした重量感だ。
「ただいまー」
「ん、お帰り菜月さん。どうだった? 生協のクジは。沈んだような顔を見るとダメだったのかな?」
「いや、当てるには当てた」
「菜月先輩は3等を当てたンすわ、見事に。ちなみに景品は自分の持ってるこれスわ」
ドスンとりっちゃんの肩から下りたそれに、圭斗はじめその場にいたMMPメンバーの顔色が変わる。パアッと明るくなるのはノサカと奈々。圭斗はまた随分な物を、と驚いたような顔だ。