「いくみぃ〜、会いたかったよ〜、んーちゅっ」
「ウザい鳴海」
「国際センターはいつ来てもいいね、さっきそこでブロンドの美女に声かけられちった」
「何語で?」
「んーわかんない。英語じゃないみたいだったけど」
MBCCで高崎の次にウザい男と言えばこの鳴海。見ての通り高崎とはウザさのベクトルが違う。人の顔を見るなり投げキッスなんかを飛ばすチャラさ。これでも一応マシにはなった方。
前はアタシの姿を見るなり「ただいまのチューは〜?」とか言って人にハグかましてきやがるから、蹴り入れてやるまでが一連の流れ。何だろ、ユノのハグは素直に受け入れられるんだけど鳴海は何か下心が。
「……相変わらずすごい戦利品だね直クン」
「あの、ちょっと手伝って沙都子、山が崩れる」
直クンがプルプルと震える腕で抱えるのは、絶妙なバランスで積み上げられたチョコレートの山。前が見えなくなるほど積み上がった山は、いつ崩れてもおかしくない。
直クンは女子大に何人かいるイケメンとか王子様の枠に入っていて、去年のバレンタインでも大量のチョコレートに埋もれていた。見た目が長身で中性的っていうのも多分大きいんだと思う。
Kちゃんが、だから紙袋を持てって言ってるのにと呆れた顔をしている。紙袋なんて最初から持ってたら期待してたみたいじゃない、とせめてもの反論をする直クンの腕からひとつ、またひとつと崩れそうな山のピースを取り除く。
「川北、ブラックリストだ。C-12のレベルをBに上げろ」
「はーい。あ、この人またやらかしたんですねー、了解ですー」
「土田、自習室を一旦変わってくれ」
「へーい」
ドカッと腰かけて、大きな溜め息を吐く林原さん、何時間かぶりに休憩に入るらしい。繁忙期は情報センターにも利用者が増えて、その分自習室の対応がひゃーってなる。
当然、普段センターを利用しない人や切羽詰まった人も多いワケで、そうなるとスタッフに無理難題を言って来たり一歩間違えば脅されたり詰め寄られたり。
そういう人たちを林原さんが情け容赦なくバッサリと対応してくれるから俺たちはいつもよりちょっと頑張るくらいでいいんだけど、B番の主・林原さんへの負担はかなり大きくなっている。
一応情報センターの就業規則で1日6時間までしか給料が発生しない仕組みになってるんだけど、林原さんと春山さんに関しては働けば働くほど時給が減ってる感じ。上限の6000円で止まってるから。
日記がさあ
どうもこんばんは、エコです。
日記をサボりがちですが生きてます。
いやはや、大雪でしたね。いや、現在進行形ですね。
水道管が凍ることも停電することもなくライフラインは無事でした。
ただし雪かきしてるときに氷水ぶっかけてく車、テメーは許さん
さて
気が付けば1月も下旬ということで、ナノスパ世界でもテスト期間です。
と言いたいところが私立はそろそろテスト期間終わるって言うね!!!
ここからテスト期間に入ってくるのは向島・星大の国公立組……
\リン様マジリン様/
そうか、もう2月なのか……
え、もう2月なの
「五島、ちょっと会計のことで相談が」
「ん?」
なんてLが言うからサークル室に行ってみるだろ。さすがにこの時期はちゃんとした活動もやってないから人が入った形跡っつーのがあんまないな。
MBCCも俺たちの代になったとは言え、実質的に俺たちがサークルを仕切るのは4月、3年生になってからだ。それまでの活動と言えば、対策の番組制作会とか追いコンとか?
番組制作会はともかく追いコンにはいろいろ金も絡んでくる。サークルの事実上のトップとして、Lもいろいろ考えてんのかね。新会計として、金のことに関するサポートは惜しまない。