「五島、せーので行くぞ」
「うーい」
「せーのっ」
「うわっ、ホコリヤバっ」
本格的な春を迎えるに当たって、MBCCでは機材部長のL主動で大掃除が始まっていた。事の発端はエージのくしゃみ。ホコリっぽさがヤバいっす、とのことで掃除魔・Lのスイッチが入ったのだ。
軽く掃除機をかけるレベルの掃除かなと思ったら、そんな可愛いモンじゃなかった。機材からラックまで、狭いサークル室に押し込められている物を全部動かしての大がかりな掃除。今も、ラックの下から出てきた何年物のホコリの塊が。
「――というワケで、綾瀬が正式にA番専のスタッフとして加入することになった」
「この度A番スタッフとして加入します、綾瀬香菜子です! 改めましてよろしくお願いします!」
林原さんから、カナコさんが正式にスタッフとしてセンターに加入するという発表があった。林原さんと春山さんが最終テストをした結果、当面はA番専のスタッフとして起用していくという方針に決まったらしい。
春の繁忙期が過ぎたらカナコさんに対するB番研修がまずはマシンを使わない範囲で始められるそうだ。林原さん直々にみー……っちり! しごかれるらしい。烏丸さんはずるいって言ってるけどカナコさんなら厳しい指導はむしろご褒美だと思う。