「あっ、大石クンだー。元気ー?」
「元気だよー。久し振りー」
久々に星港のど真ん中に立ち寄ると、懐かしい顔に出くわす。インターフェイスの定例会で月に1度は会っていたけれど、それがなくなればご無沙汰。
目についたカフェに入ると、観葉植物が多い。席が人目に付きにくいという印象。プライベートな空間みたいになってて、ゆっくりするのに良さそう。
アタシはカフェラテ、大石クンはココアで一息。互いの近況や、就活についての話がメインになっていた。他に共通の話題があるというワケでもないし、定例会時代からそこまで深くは突っ込んでこなかったから。
街でばったり出会った彼女の手には、大柄な荷物。そして、俺の手にも同等の荷物があった。見る人間が見れば、ショップ袋など名刺代わり。互いに薄々察してはいたけど決して深く踏み込むことのなかった領域を、意図せず曝け出している。
恐らくは同人誌やグッズを大量に買ったと思われる福島さんと、同人誌やゲームを買い漁った俺。互いに見て見ぬ振りをすればよかったのかもしれない。だけど、気付いた時には手遅れだったのだ。
「まさか同じカードに手が伸びるとは」
「互いに提げてる袋が決定的すぎたよね」
「別に隠してるワケでもないけどあまり大っぴらにはなってないみたいで」
「アタシも青女ではオタク扱いだけど、インターフェイスに出るとそうでもないから加減が難しくって」