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【SSS】夢を掴みに翼は開く

「ただいま」
「大丈夫だったか」
「うん」

 いい具合に酔っていたメグちゃんを家まで送って、再び朝霞クンの部屋に。途中のコンビニで買ってきた缶ビールを開けて。朝霞クンもいい具合にほろ酔いだけど、いつもよりはしっかりしているという印象。今も、部屋の片付けをしているところだった。

「お前何抜け駆けしてんだよ。俺のは?」
「あるよ。はい」
「サンキュ。えっと、財布財布」
「ああ、いいよ。俺たちの友情に乾杯ってことで」


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【SSS】水面に揺れる、

「桜、まだかな」
「もう少しだと思います」

 向島大学は小高い場所にあるからか、星港市内よりは桜の開花も少し遅い。今日は新4年生の健康診断の日。俺は野暮用(サークルの新歓ポスターを作れとかいう律からのムチャ振り)で大学に来ていたけど、まさか菜月先輩にお会いできるとは。
 もう少ししたら、図書館から校門までを結ぶ坂道を桜の花が埋め尽くすだろう。桜並木の坂道は、それはもう言葉にできないくらいに美しい。菜月先輩も、春のこの場所がとてもお好きでいらっしゃるそうだ。


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【SSS】運命の矛先

「リンちゃ〜ん……」
「どうした、柄にもなく浮かない表情だが」
「ちょっとね〜」

 突如宮ちゃんから呼び出され、指定された場所に向かえば少々やつれた表情をしている。本当に柄にもないのだ。宮ちゃんと言えば、常に明朗快活なイメージが強い。
 紅茶でも飲んで落ち着けと、オレの方も柄になくこの場は出すことに。それだけ宮ちゃんの様子が異質だったのだ。普段のオレであれば、何がどう間違っても他人に何かを奢るなどということは考えられん。


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【SSS】ぼろ雑巾とガラスの靴

「所沢、話がある」
「何でしょうか」

 部長直々に呼び出しを食らうなんて、あまりいい気がしませんね。今日も長門さんの補佐……という名の雑用係として幹部の仕事の手伝いをしていたのですが。もしかして仕事に粗でもありましたかね。
 それとも、追いコンの参加費の件を文化会の監査に密告したのがバレたか、源と浦和に接触していたのがバレたか……幹部の班にふさわしくない行為とかで罰せられる可能性もありますよね。


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【SSS】泥水の底

「あーさーかークン」
「おっ、山口。どうした?」

 珍しいことがあったなと思う。確かに山口は夜より昼の方が時間に余裕があるけど、それでも連絡もなしにうちに来ることは少ない。こうしている分には普段と何ら変わりないように見える。何の用だろうか。

「ん〜、これっていう用事があるワケじゃないんだ〜」
「まあいいや、上がってけよ」
「それじゃあ、お邪魔しま〜す」


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