「聞ーてくださいよ越谷さん! 酷い話じゃないですか!?」
「確かに酷い話だとは思う」
「あやめちゃんドンマイ…!」
昨日、突然あやめが俺に泣きついてきた。明日の夜は行くところがないんだと。何があったのかと訊ねると、明日は裕貴の誕生日でかんなにはデートの予定があるということだった。
付き合ってひと月程になるだろう2人だ。デートの報告を受けたりかんなを部屋まで送り届ける裕貴を見ていて、あやめもいろいろ察してくる頃合い。部屋が分かれているとは言え、壁は薄い。気を遣ったと言うか、今日の自主避難でもあった。