「あれっ、あれれなんだ!」
星ヶ丘放送部は丸の池ステージ直前で準備に余念がない。暇さえ見つけて練習をするし大道具や小道具制作、それから台本は適宜調整をしたり。テストもあるからその合間も縫いつつだ。
部が拠点にしているミーティングルームにも頻繁に出入りするから扉は開けっ放……いや、それは俺たち朝霞班の姿を日高の目に入れたくないとかいう理由でいつもだった。そんな事情で割と不用心な部屋ではある。
今日も今日とてMMPは平和だし、ラブ&ピースだ。テスト前とは言ってもテストはまだだ。昼放送は最終週。菜月先輩と俺のペアはもう収録が終わっている。だからと言って番組モードが切れるワケではなく、夏合宿に忙しくなるだけだ。
「しかし、暑いなあ」
「今年は酷暑だというからね」
圭斗先輩と菜月先輩が茹だった表情で団扇を動かしていらっしゃる。扇風機も申し訳程度についているけれど、その程度ではやっぱり暑さは消えていかないのだ。夕方にも関わらず暑いぞ!