思えば、ここ最近は朝霞班のブースでおかしなことが起こりすぎている。
須賀の巾着が出てきてみたり、小道具の剣が折られていたり。1日12時間ほどをこのブース近くで過ごしているにも関わらずそんなことが起きているからには、夜の間に何かが起きていると考えるのが自然。
丸の池ステージ前日の夜。ここで何も起きないという保証はない。これ以上小道具を壊されたり物が盗まれても困る。俺は宇部に話を付けた上でブースに残ることにした。何も起きなければそれでいいし、何かあれば追い返す、それだけだ。
「朝霞クン、本当に大丈夫? 俺も残ろうか」
「大丈夫だ。2人だと気配が大きすぎる」
「でも、1人だと危なすぎるよ」
「そうだよ朝霞サン。連中は朝霞サンを殺す気だし、ボディーガードに洋平を置いといた方がいいって」
「ねえちー、明日の土曜日か日曜日お休み?」
「うん、休みだよー。どうかした?」
あずさがうちに遊びに来ている。テストはいいのって聞いたら、やっぱり3年生になると履修も少なくなるみたいで今までよりは少し余裕があるんだって。って言うか私大の子って大体国立より早い印象があるけど、春学期の星ヶ丘は一緒なんだね。
「あのね、今度の土日にあたしの友達がステージやるんだって。放送部の子なんだけど」
「へー」
「でね、興味があるんだけど1人じゃちょっと怖くて」
「一緒に行けばいい?」
「うん! ちー、ありがとー!」