「まさかお盆時なのにいるとは思わなかったわ」
「向舞祭の関係で帰るに帰れないんだ。墓参りとかもそれが終わってゆっくり帰ってからの予定だし」
「そう。あなたも忙しいのね」
宇部から俺の家近くのカフェに呼び出され、盆時なのにすぐ出て来れることに呆れられる。世間は盆休みだが、向舞祭にそんな事情は関係ない。いや、俺もこれが自分がガッツリ絡むステージなら盆も正月も知ったことではないから理解は出来るけど。
「高崎ぃー、助けてくれー」
「断る」
飯野が俺を部屋に招待してきた。相変わらずゲームばかりの部屋で、入手困難になっているという例のハードも当たり前のようにある。曰くそんな物は発売日に入手済みだとのこと。
さて、どうして俺がここに呼ばれたのかということだ。助けてくれと言われる覚えはひとつしかない。どうせゼミの課題がどうしたとかいう話なのだろう。と言うか、その関係で星ヶ丘のステージも見に行かされた。
問題は、飯野の課題を手伝ったところで俺にメリットがあるのかという話だ。例えば、課題を手伝えば出席をどうにかしてもらえるとか。俺にメリットがないのに手伝うかと言えば、否。