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【SSS】限界間近のシリアル定食

 9月は大祭実行委員にとっては書き入れ時。遊びやバイト、そして勉強までをかなぐり捨てて11月アタマに控える大学祭に向けた準備に奔走することになる。まあ、勉強は別にいつでも捨ててるという個人的な事情はともかく。
 大祭実行委員は揃いのつなぎと法被を持っている。俺は割と年中薄緑のつなぎを着ているけど、他のメンバーもつなぎを着出すといよいよかっていう気になってくる。役職持ちじゃない一般の連中も出てくる時期だし。

「あ〜、疲れた〜!」
「委員室に戻ってちょっと休もう」


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【SSS】魅惑のランダムダンジョン

「浅浦テメーマジでふざけんなよ」
「俺よりも俺の部屋でくつろいでるんだから模様替えの手伝いは義務だろ、お前がふざけんな」

 慧梨夏もいないしバイトもないし、他の友達も捕まんなくて一人で暇だしというときは、浅浦の部屋に転がり込むことが多い。今日も浅浦の部屋に転がり込もうとしたら、留守だった。
 浅浦(と書いてルビは“引きこもり”)のクセに外に出てんじゃねーよと思って帰ろうとした瞬間、家主は本屋の手提げ紙袋と共に帰宅。マイベストフレンド! そんなようなノリで部屋に転がり込み、さっそく定位置のロフトに陣取った瞬間のことだった。
 まあ、手提げ紙袋が出てくる規模の買い物っていうのはお察しなワケで。浅浦が結婚情報誌的な分厚い雑誌を買う習慣はなく、袋の決め手は量。そうなると浅浦は部屋の、と言うか厳密には本棚の模様替えを始めるんだよな。ちきしょい巻き込まれたか。


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【SSS】What is Real?

 今日は向島大学のオープンキャンパス。学内には高校生がわらわらと歩いていて、夢と希望に溢れた彼らもそのうち現実と絶望に染められるのかと思うと……げふんげふん。律じゃあるまいし、俺がそんなラブ&ピースなことを思うはずないじゃないか。
 さて、放送サークルMMPでは食堂の一角を借りて公開生放送を行うことになっている。人でごった返すところの一角を借りて席をいくらか潰すのははっきり言えば営業妨害――おーっとぉ! ナンデモアリマセンヨー。
 11時から13時までの2時間で、各ペア30分の番組をやるのだ。もちろん、人が最も多い12時からのパートは満場一致で菜月先輩と律のペアの番組に決まりましたよね! アナウンサーの実力問題というヤツで。


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【SSS】経験値のうま味

 9月も後半に入り、いよいよ秋学期の入り口が見えてくる。履修登録のことに関しても本腰を入れて考えなければならない。尤も、3年後期にもなると必要な単位はほぼほぼ取り切ってしまっていて、どこに全休を持ってくるかという考え方になるのだが。
 それと、俺の場合履修とにらめっこをしながら考えるのは自分の予定だけではない。サークルの昼放送のペア決めという大事な仕事がある。1年から3年までが名を連ねるのは秋学期だけだ。実力だけでペアを決められないのは履修の都合にある。

「高崎」
「よう岡崎。呼び出して悪いな」
「何の用だった?」


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【SSS】黒幕は欲に忠実

「アンタ、何か面白いことを画策してるんだってな」
「ん?」

 浅浦クンからの問いに、みやっちはスプーンをくわえたままその大きな目をきょろりと動かしている。机に並ぶオムライス、それにサラダとミネストローネ。浅浦クンの部屋に招待されてのディナー。

「関さんから聞いた。何か伊東を大祭の女装ミスコンに出そうとしてるとか」
「ああ、そのこと」
「アンタのことだから高校時代のリベンジめいた執念かと思ったんだけど」


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