「さて。あと一つ、大事な行事が残っているね」
大学祭3日目。後夜祭を終えてテントなども片付け終えれば辺りはすっかり夜になっていました。昼間は晴れてあったかくても、夜になれば冷え込む季節。みんなで作る輪も心なしか小さ目です。
今日のこの輪を閉めようと圭斗先輩が声を発せば、大事な行事が残っていると。ええ、それが何なのかは私たち2年生がよーくわかっています。むしろこれが今日のメインディッシュな気がしますよ。
「やあ。メウ、久し振り」
「……あら、どうしたの。わざわざこんなところに」
私に声をかけてきたのは青浪敬愛大学の長野宏樹。じとっとした目つきが特徴的で、その笑みは薄ら笑いと言うのが適している。聞くに、青敬の大学祭は先週だったようで、出していた占いの館で洋平と朝霞を占ったから見に来てみたと。
彼とはインターフェイスの夏合宿で知り合った。向島の三井と共に同じ班で。普段は一切連絡を取り合わないのだけど、こうして声をかけられればそれを拒絶する理由はない。彼がインターフェイス関係者だと知っている人の方が少数だから。