「ユノ!」
「あ、イク。帰ってたの」
「隣いい?」
「どうぞ」
とある昼休み、薄暗い第1食堂の中でも特に入り組んだ辺鄙な席に陣取って昼食をとっていると、場所にそぐわない声で名前を呼ばれる。懐かしいその声に振り向けば、今度はどこへ行っていたのやら、旅帰りの様相でイクが立っていた。
「いっちー先輩おはよーございまーす」
「おはよう」
今日は火曜日で、MBCC昼放送は俺と果林の担当になる。昼放送は第1学食の事務所から生放送でやらせてもらっていて、機材なんかの条件は当然サークル室とは違って来るんだけど、その辺はミキサーが上手いことやって対応するって感じかな。
「よーし、やってやりますよ」
「一晩経って、忘れてないかだね」
「そうなんですよ。いっちー先輩ジャッジは厳しめにお願いしますね」
「わかったよ」