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【SSS】影も形も見せぬまま

「坂戸さん、これ、どうしましょう」
「いや待て所沢、そんな物を俺に向けるな」

 先日、ミーティングルームがちょうどみんな出払っていた時を見計らって須賀班のブースから適当な物を盗って来ました。水色の巾着袋です。財布やスマートフォンのような貴重品であるとは考えにくかったのでちょうどいいなと思い。
 退屈している部長を楽しませるためのショー、その小道具を用意したまでは良かったんです。あとはこれを朝霞班のブースに放り込んで、盗みが起こったと騒ぎ立てれば。でも、魔が差したんですね。人のことには基本興味はないですが、中身を見ようと。


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【SSS】無実であると叫びたい

 丸の池ステージまで1週間を切った。ミーティングルームにはバタバタと人がひっきりなしに出入りしているようだし、機材を使っての練習や丸の池公園の現地に出向いてシミュレーションを行う班も。準備は大詰めだった。
 日高班は机上の打ち合わせが主で、俺や高萩といったアナウンサーは台本を読み、ミキサーは使う音を確かめている。台本を上げて仕事を終えたプロデューサーの部長は、金属製のレールにビー玉を転がす遊びがお気に入り。

「部長、少々お時間をよろしいでしょうか」
「何だ、俺は今忙しいんだ」


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【SSS】夏の勝負服コレクション

「山口洋平君」
「……はい」
「お前はステージをナメてるのか?」
「いやいやいやいやそんな滅相もない!」

 朝霞クンの睨みがかかり、鋭すぎる視線に震え上がるしか出来ない俺がいる。今日はステージ前最後の日曜日ということで、丸1日準備に充てることになっている。ただ、暑いから屋外作業は夕方からなんだけど。
 ――というワケで最初の集合場所は朝霞クンの部屋。つばちゃんとゲンゴローは音源や小道具など、それぞれの仕事に必要なものを持ってきていた。そして俺に対してP直々に出された課題は、「当日のステージ衣装を着てくること」だ。


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【SSS】汗かき氷かき待つ秋まだ先

「夏に負けるな! GREENsかき氷大会ー!」
「どんどんどんぱふー」

 慧梨夏サンの景気のいい掛け声で始まったGREENsかき氷大会だ。趣旨はわかりやすい。ここのところ死ぬほど暑いしそんな中でバスケなんかやったら死ぬ。たまにはこういうのもいいよね、ということだ。
 ただ、毎度毎度こういう大会をやるのがコムギハイツの駐車場っていうのがな! うちじゃん!? で、当然のようにうちの冷蔵庫が材料の備蓄庫みたいな扱いになってるじゃん!? まあ、物が少ないから入っちまうんだけど。
 駐車場の空きスペースには海で使うようなパラソル付きのテーブルが設置された。その下には手動のかき氷器と、うちから引っ張ってきた電気で動く電動のかき氷器がスタンバイしている。


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【SSS】あの頃僕らはワルかった

「いよーうクソガキー! 来やがったかー!」
「うるせえクソが。誰も好き好んでは来てねえ」

 路地裏のライブハウス、そこに立ち入るなり俺に絡んで来やがったのはバイト先の同僚、長谷川正道。コイツの本業(?)は一応音楽で、スラップソウルというバンドのギタリストだ。一応メジャーを目指しているらしい。
 ただ、なかなか知名度やら集客率が上がらないのか、はたまた長谷川の分のノルマが捌けないのかライブのチケットを買えと俺を脅して来やがるのだ。そんな事情で買わされたチケットを握り、至る今。


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