向舞祭当日、いつもは一緒に練習をしていたインターフェイスの定例会チームは各々の持ち場へと散ることになっていた。俺は1人、2週間前には自分の書いた物をやっていた場所を背にして他人様から寄越された台本を開く。
日によってその顔を変えるのが丸の池公園だ。今日は丸の池公園前の道が大々的に封鎖されて、道路の上に設置されたステージでの仕事になる。公園内のステージ近辺では屋台が出ていたり、出場チームが練習をしていたりと通りとはまた違う賑わいを見せていた。
向舞祭は向島エリア内に何ヶ所かあるサテライトステージでの予選を経て、最終日の準決勝と決勝に臨むことになる。準決勝と決勝まで勝ち進むことでメイン会場・花栄大通り公園にあるメインステージでの演舞が出来るのだ。
台本を開いたり閉じたり。自分が書いた物でもないから記憶への定着度合いも少し不安が残る。不安をごまかそうにもいつものように仲間たちとやいやい言い合えるでもなく、緊張して縮こまるばかり。これまでも練習はしてきたけど、それでも本番となると。