MMPサークル室のまったりした空気を、稲妻の如き叫び声が引き裂いた。何だ、どうしたんだと俺たちが視線をやった先には、もんどりうつこーたとそれを見て面白がる三井先輩。机の上には、齧った跡のあるまんじゅうらしき物体。
「ひっ、水っ、お茶っ」
「さすがこーた、外さないなあ。リアクション芸人としてもやっていけるね」
慌てて水筒のお茶を飲んでいる様子から推測するに、あのまんじゅうに何か仕込まれていたんだろうな。俺や律たちはこーたの様子を見ているけど、菜月先輩と圭斗先輩は叫び声にチラリと目だけやってまた作業に戻られている。
公式学年+1年
++++
「鵠さん」
「ん?」
「鵠さんの部屋って確か七輪なかったっけ」
「……あるけど、どうかしたか」
10月某日午前2時過ぎ。佐藤ゼミでもやれ大学祭だなんだと曜日や時間を問わず精力的に活動をしていた。日中よりも爛々とした目をしてブースの看板に色を塗る高木が、突然何を言い出したかと言えば、七輪だ?
ちなみに、うちの七輪は元々GREENsの誰かが所有していた物だ。伊東サンの誕生会でネギパーティーをしたときに初めて持ち込まれた。俺の住むコムギハイツTが大学から徒歩5分という事情でイベント会場にされたりたまり場になったりした結果、部屋がGREENsの用具倉庫になりつつあった。