星港高校卒の面々で開かれている忘年会、その会場は俺の部屋だ。俺の部屋ならあんまりうるさくしなければある程度好き勝手出来るし、眠くなったらそのまま寝ても全然平気。何より、食べたい物をその時に作ることが出来るのが最大の強みだよね。
今日集まっているのは高ピー、浅浦、拳悟、リンちゃん、そしてこっしーだ。こないだの芋祭の時から慧梨夏アウトこっしーイン的な。つかこっしーとかマジ懐かしい。同じ部活だったけどこっしーはバスケガチ勢で俺はにわか勢だったしな。
MBCCの無制限飲みスタイルで、食べたい物やお酒は各自で準備しなければならない。お酒はともかく食べ物は完成品を持ち込む人もいれば、高ピーのように俺が作れることをわかっていて食材を持ち込む人もいる。例によってしばらくは台所籠もりかな。
15枚ほど積み上げられてた木製パレットの上に、胡座で眉間にシワを寄せる塩見さんの姿があった。こんな時の塩見さんは、きっと何かを考えているんだと思う。この状態のオミに下手に声を掛けると怖いぞ、とは宮本主任が教えてくれた。
会社では年末年始に向けた出荷が一段落して、それこそ大掃除が出来るまで静まりかえっていた。それぞれ事務所や食堂、作業室なんかの持ち場を掃除していて、俺は主任と一緒に現場の掃除をしようとモップを手に倉庫の端を目指して歩いているところだったんだ。
「千景!」
突然上から声が降ってきてビックリした。足を止めて振り向くと、塩見さんが器用にパレットの山から駆け下りてくる。