「ん、それじゃあ行こうか?」
「よろしくお願いします」
3月4日午前10時、いよいよ忠犬を引き連れ緑風への2泊3日の旅行が始まった。移動手段は主に僕の車で、高速道路を使っていく。本当は向島から山浪を通り、そのまま緑風に入る路線を使えばいいんだろうけど、いろいろな意味で怖いので迂回することに。
菜月さんは普段その道路を走る高速バスで行き来をしているので、その辺りのことは大体わかっているし、ここは敢えて迂回することで菜月さんの普段見ることのないお土産でも買っていければという計画でもある。もちろん、向島の物以外でね。
さて、午前10時という時間に無理矢理間に合わせた野坂は既に眠そうだ。だけど、買い物予定のサービスエリアに着くまでくらいはしっかりと助手席でトークリーダーの役割を果たしてもらわないと。と言うか初っ端から助手席で寝る男なんか殺意しか湧かないね。