周りは本当に山だから。そう言われてやって来た緑ヶ丘大学の麓は、本当に山を切り開いた学園都市のようだった。緑ヶ丘大学は向島エリア有数のマンモス校で、学生数も多いし設備も最先端という印象がある。
今日は最寄駅からスクールバスに乗って来たからそんな学内を突っ切る形で目的の場所に向かっている。だけど、これはナビがないと絶対に迷って歩けない気がする。何回も来れば慣れるのかな。少し不安だ。
「凄いね、学内に郵便局がある」
「あ、使うトコないと思うけど銀行ATMはあっちな」
「学内にATMがあるの!?」
「えっ、青女はないのか?」
「ないよ!」
「郵便局は?」
「ないない!」
「うわっ、何か縁起でもない物が置いてる」
さーて今日も制作だ。そんなノリで部室に行くと、机の上には平面ピラミッド型のハンバーガータワーが組まれていた。もちろんまだそんな季節じゃない。このタワーを積み上げるには1ヶ月ほど早いんだけど、何でそんなモンが今美術部の部室にあんの?
「あ、唯香さんおはようございます」
「どしたの実苑これ」
「これですか? 文化会発表会のシンボルだという風に聞いたので、作ってみました」
「アンタの仕業かい」