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【SSS】レッド・ブロック

「リン……さっきから、電話が……」
「こんな時間にひっきりなしにかけてきやがって。迷惑と言う他にあるか」

 時刻は午前5時半、私はリンの車の助手席に座り、高速道路の上にいる。徹を含めた3人でゼミ室泊をしていたのだけど、ふと目覚めるとリンの姿がなくて。机の上からキーボード……パソコンのではなく、鍵盤楽器の方のキーボードが無くなっていたことから、私はリンの書置きを頼りに海に出た。
 徐々に昇る太陽が夜を追いやっていたちょうどその頃、私は海岸でキーボードを弾くリンを見つけ、そこで彼と少し話していた。話していた内容はそれと言って特別なことではなかった。彼の基準では徹夜続きの状態では日付が繰り上がらないのだそうだけど、朝日を浴びたことで新しい1日を始めることが出来たとか、そんなようなこと。
 それから、学生のノリなのかもしれない。車を西に走らせて、西京エリアへ向かうことにした。西京までは高速道路を使えば2時間もあれば余裕で着く。法定速度よりいくらか速いリンの運転では、1時間半を切ると思う。現地で何をしたいかをスマートフォンで調べていたときのことだった。


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