スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。


【SSS】価値創造のタイミング

「あー……あ〜…!? どーするよー……あ〜…!?」
「おい、まだ決まらないのか」
「ちょっと待て浅浦、もうちょっとだけ悩ませてくれ」

 伊東に連れられやって来たのは、家電量販店のキッチン用品コーナーだ。アイツは自動調理鍋を前に、うーんうーんと彼是1時間ほど悩んでいる。元々優柔不断な方ではあるけど、まさかここまで悩むかと、暇を拗らせた俺はマッサージチェアのお試しを終えて溜め息を。
 コイツがキッチン用品だの台所家電に目をキラキラさせるようになったのは一人暮らしを始めてから。厳密には、宮林サンのお世話が軌道に乗って来て、料理の腕が上がって来てからだ。今では自分の部屋も彼女の部屋も、台所は完全に奴の要塞と化している。
 酒豪サークルと名高いMBCCで開かれる飲み会でも、酒の飲めない伊東は飲む代わりに延々と料理を作り続けているという。宅飲みで居酒屋並、もしくはそれ以上のメニューが出て来るとあって満足度はかなり高いらしく、伊東も長く飲み会の空気を楽しめるとかで持ちつ持たれつのようだ。
 で、そんな伊東が目を付けたのが自動調理鍋だ。コイツが悩んでいる機種に関して言えば電気圧力鍋とも言えるだろう。それを前に欲しいな、でも本当に要るのかな、などと唸っているのだ。展示品を前に、時折声を掛けに来る店員も引くぐらいの悩み様で。


続きを読む
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2019年09月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30