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【SSS】仕事終わりのご褒美スイーツ

「は、は〜っ……疲れたぁ〜……」
「だらしないぞ川北。この程度で何を言っている」

 インターフェイスの夏合宿が終わって帰省してたんだけど、履修登録の季節ということで向島に戻ってきた。で、戻ってくるなり繁忙期だから、久々にバタバタして疲れちゃったよね。入学してすぐスタッフにはなってたんだけど、ちゃんと繁忙期を捌くのは今回が初めてだし。
 俺が帰省している間に、情報センターには新しいスタッフとして烏丸さんという3年生の先輩が加入していた。烏丸さんは今年から星大に編入してきたそうで履修コマは1年の俺とそんなに変わらないらしいけど、センターはいつだって人手不足だから人がいるに越したことはないみたい。
 今日は冴さんを含めた5人で回してたんだけど、気付いたら冴さんはいなくなっていた。アイツのことだから飽きて帰ったのだろうとは林原さん談。まさかそんなとは思うけど、冴さんだけにないとも言い切れないのが何とも。どうやら夏の閑散期の間も飽きて帰ることが多々あったって。


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【SSS】set gain, secretly

 オープンキャンパス当日。MMPは学食の一角をお借りして2時間の公開生放送をやらせてもらっている。怪しい空模様の中、圭斗先輩の車で機材を食堂まで運び、簡易DJブースを設置。事前に決めた番組順の通りにスタンバイしていく。
 圭斗先輩と菜月先輩の独断と偏見で決めたペア順によれば、何とトップバッターが俺とヒロのペアだという。なんてこったい! ちなみに、番組は11時半から1時半までやるんだけど、人が多い時間帯に菜月先輩を持ってくるというのは圭斗先輩のナイス采配だと思います。
 まあ、トップバッターが悪いことばかりでもないんだ。誰もいじってない状態のミキサーで番組を始められるとかいろいろある。エフェクトのつまみや、特にマイクのゲインかな。いや、人が替わる度に調節はし直すんだけど、それでも何かこう、気持ち的に。

「ヒロ、ゲイン合わせるぞ」
「えー、もう声出すん?」
「こっちは他にもいろいろやることがあるんだ。わかってると思うけど、ゲイン調整と本番で声を変えるようなことはするなよ」
「同じ声出すとかそんなんムリやん」
「ムリじゃない」
「普段話すときの声やったらアカンの」
「ダメだ」
「何やのノサカのケチ! いけず!」
「おっ。やれば出るじゃないか。今のトーンで番組も行こうか」
「やからムリやってば!」
「出てる出てる」


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【SSS】必勝の皮算用

「宮ちゃん、計画の方はどうだ」
「水面下で準備を進めてるよ。高崎クンは?」
「つっても俺は何を準備するとか、そういうのはねえからな」
「それもそっか」

 甘いケーキをつつきながらするのは、悪い話。少し前に高崎クンから持ち掛けられていたとても楽しい計画に向けた進捗報告。この計画のことはまだ悟られちゃいけない。それとなく、自然にそういう風に持って行けるように段取りを踏まなきゃいけない。

「でも、ただ女装させるワケでもねえっつってただろ。何か攻略法でもあんのか」
「もちろん! うちを誰だと思って。コスプレイヤーの友達もいるから、その人のツテで女装レイヤーさんを当たって女装メイクや体作りなんかのポイントも教えてもらうよ」
「化粧するにもまた違うんだな」
「そう。女の人の女装メイクと男装メイク、それから男の人の男装メイクと女装メイクはいろいろ違って来るんだって」


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【SSS】扱く殴るのニュアンス

「さ、みんな来てるな」
「遅いよ朝霞サン、もうとーっくの昔にみんな来てるっつーの」
「悪い。それじゃあ早速始めるぞ」

 久し振りに足を踏み入れたブースに朝霞先輩がやって来て、いよいよこれからまた部での活動が本格的に始まるんだなという感じがする。丸の池ステージが終わってからはインターフェイスの夏合宿のことを中心にやっていたから、朝霞班の皆さんの顔がとても懐かしい。
 ここに呼び出されたのは、今日から3日間の日程で始まるラジオドラマの収録のため。インターフェイスでは作品出展って言って、各大学の活動を音声や映像にまとめた作品を提出して、その感想をもらうっていう活動がある。今月の担当である星ヶ丘からはラジオドラマを出すんだそうだ。
 星ヶ丘からの作品出展がステージの映像とかじゃなくてラジオドラマで出すっていうのも変な話だとは思う。だけどいざ朝霞班でステージをやってみて、自分たちのやっている映像を残すことの難しさを実感した。他の班の映像を借りられることもなく、他の班の人が朝霞班の映像を撮ってくれるワケでもなく。
 ――で、朝霞先輩が書いたラジオドラマの台本に沿ってこれから作品制作が始まるんだ。台本はあらかじめデータでもらってたけど、朝霞先輩から改めて紙で配られる。紙の台本が配られるこの感じ、やってることはラジオドラマでも「部活だな〜」って感じがする。


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【SSS】Presence as an announcer

「よし、それじゃあ1回試しに実戦形式での合わせをしてみようか」
「お願いしやーす」
「いやあ、やっぱり菜月さんがいると安定感が凄いね」
「さすが菜月先輩ですッ!」

 今日はオープンキャンパス前最後の特別活動日。夏休み中の特別活動には初めて参加する菜月さんだけど、やっぱり菜月さんがいると一本芯が通ると言うか、違うなと。これまでのぐだぐだは一体何だったんだって思うけど、僕は放送の実戦的なところで引っ張ることは出来ないからね。
 これまで相方のりっちゃんと顔を合わせての打ち合わせが出来ていなかったということで、菜月さんは我先にとマイクスタンドを立てて、今日は自分に練習時間を下さいと主張してきた。きっと彼女は自分たち以外の3ペアがしっかり打ち合わせをして実戦練習もしっかりやっていると思っているのだろう。


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