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【SSS】突然変異の前例

「――というわけなんだけど、イク、どうかな」
「そうねえ、どうするかね」

 いつもの第1学食ぼっち席にイクを呼び出し、水面下で行う参加要請。何に対する参加要請かと言えば、もちろん大学祭のDJブース。俺が責任者だから、枠を決めたりするのは自由にしていいとは高崎から許可が出ている。だから、好きにやらせてもらってる。
 イクはMBCCではミキサーとして活動している。MBCCというサークル自体がどちらかと言えば腕を伸ばすために努力するというタイプの人が多い中で、イクは完全にセンスで音を配ってるタイプのミキサーだ。所謂天才型で、そのセンスは咲良さんも認めている。
 だけど、イクの音の割り振り方には根拠がない。ほとんど感覚だけでやってしまうから、後で同じようにやれと言われても完全再現は不可能とも言われる。そんなイクと反りが合わないのが努力型を地で行くアナウンス部長の高崎だ。
 高崎とイクは1年の頃に昼放送でペアを組んでいたことがある。だけど、あまりに反りが合わなくてペアは喧嘩別れをして、以来サークルの場でも顔を合わせれば喧嘩ばかり。お互いに能力は理解してある程度認めてはいるけど、だからこそ合わないことも理解している。
 そんなワケで、イクは高崎が事実上の代表として束ねる今のサークルにはあまり近寄らなくなってしまった。それを抜きにしても元々自由に旅をしていて出席率はそれほど高い方ではなかったけど、より顕著に近寄らなくなったって感じ。俺やカズとは関係も良好なんだけど。


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