「チッ、あの野郎…!」

 睨み付ける手の上の画面。そこで繰り広げられていたのは路上ライブ。私はそれを近所繋がりのバンドマン連中と見ながらギリギリと歯を食い縛っていたワケで。
 連中とはいろいろな話をしていた。大学祭のために組んだバンドでステージに立ったとか、自分らで曲を作ったりしてまあまあ充実したバンドライフを久々に送れたとか、そんなようなことを。
 なず姉――今は社畜をしている私の姉も一緒になって各々の楽器をペンペンとかベンベン鳴らしていた年越しも今は昔。なず姉は社畜の名に恥じぬスケジュールだし、私は騙し討ちを食らっている。