「……まだ、寝てる…?」

 そろりと助手席のドアを閉め、緩く倒した運転席に目を落とす。眼鏡をかけたまま、リンが仮眠している。私は、サービスエリアをぐるりと回って、戻ったところ。
 成り行きで、リンとドライブをすることになった。こういうとき、学生のノリと勢いというものを実感する。エリアを越え、今いるのは西の観光名所である西京エリア。
 ドライブをすることにしたまではよかったけれど、行き先を少し悩んでいた。行くべき場所を決めたのは、偶然カーステレオから流れたマイフェイバリットシングス。そうだ、西京行こう。