「誰か、まだいるか?」

 時刻は午後6時過ぎ。利用者がいるかどうか少し怪しい時間帯の情報センターに顔を出す。事務所では、春山さんが暇そうに本を読んでいる。やはり人は少ないらしい。

「何だ、リンか。お前今日シフト入ってないのにどうした」
「少し遠出をしたので軽く摘む物を買ってきただけで、大した用では。アンタだけですか、春山さん」
「いや、川北がB番で自習室にいる。どーせ人なんかもう来ないだろ、呼んでくるか? 小腹も空く時間帯だ、お茶にしよう。リン、お湯を沸かしてくれ」