俺には、思ったよりも時間がない。2月上旬には例の奴らが俺を襲いに来ちまう。備えあれば憂いなしとは言うから、機材のメンテナンスは万全にしなくては。

「慧梨夏、俺とどこかに行きたいなら早めに済ませてくれたら嬉しい」
「だからさあ、マスクするとかメガネかけるとか、病院行くとかすればいいのに」
「俺は人間の抵抗力に賭けてる」
「既に負けてるから」

 クエン酸を溶かしたぬるま湯を作りながら、俺は慧梨夏からの説教を聞いている素振りで聞き流す。何度言われても病院はちょっと大袈裟だと思う。