「うーい、リーン、いるかー?」
「はい。何の用ですか」
「そりゃねーだろ。ほら、こんなモンでいいか」

 どすんと机の上に置かれたのは、やたら重たそうな紙袋。それを離した春山さんは、よほど腕が疲れたのかぷらぷらと手を振って休めている。
 その紙袋を覗き込んだ林原さんは、中から本を取り出してパラパラと中身を確認している。その表情は普段春山さんと接するときのような、言いにくいけど仏頂面ではなくて機嫌が良さそうな顔。