「あー、まただ」
「川北、B-06をブラリ登録だ。それと、B-06に次の利用者を通せ」
「はーい」

 廊下には、今にも食ってかからん勢いの怒鳴り声が響く。今し方自習室から強制退場させられた利用者の人だ。俺は林原さんからの指示通りに淡々と学生証を返し、次に順番待ちしていた人にカードキーを手渡す。
 俺の隣では、利用者でごった返した時に列を整理したりする役のカナコさんがスタンバっている。今は比較的落ち着いているから受付席の業務を見て見習い業務中、という体。
 バイトリーダーの役割を引き継いでからも林原さんは相変わらずキレッキレで、この繁忙期で林原さんにつまみ出された利用者はそこそこいる。カナコさんも最初は戸惑っていたようだけど、今では俺と一緒にまただねー、なんて言って慣れた様子。