向舞祭も終わって、夏合宿があるけど俺の中では折り返し地点を過ぎたところだ。同じように、慧梨夏も同人イベントの方が少し落ち着いて、今はまた秋のイベントに向けて(俺のパソコンで)原稿と向き合っているようだった。
 秋の足音が近付いているとは言え、まだまだ暑い。今は夜だから昼に比べれば全然いいけど、それでもじわっと汗ばむ陽気であることには違いない。部屋にはクーラーがかかっている。

「慧梨夏、アイスでも食うか」
「あっいいね! Ctrl+Sからのドロップにインで、休憩ー」

 ――と、慧梨夏が伸びをした瞬間のことだった。突如、外からガシャーンという大きな音。辺りを見渡していると、部屋の電気がフッと消える。室内灯も、エアコンも。テレビも扇風機も炊飯器も冷蔵庫もWi-Fiも全部! テレビの録画予約もおじゃんだ。