「おはよーございますー」

 いつものようにやってきた川北の頭には見慣れん帽子。この頃は朝夕も冷える。ニット帽やなんかで頭を守るのはわからんでもないが、車通学の川北には縁遠いような。駐車場で車から降りてしまえば、校舎の中に入るまで歩く距離は長くない。

「川北、かわいい帽子だな」
「わー、春山さんに褒められたー」
「帽子が緑色なのは川北ミドリだからみたいなことか?」
「そうなんですよー、分かりやすいかなーと思って」