「星羅、ミカンもらったけど食べるか」
「食べるんだ!」

 星羅の家は星港と比べると山に近く、夜の冷え込みも結構大きい。そりゃ、山だ山だと言われている向島大学のすぐ下だから、寒い。だからなのか、リビングにはこたつが出ていた。
 いただきますなんだ、と星羅はまるまるとした大きなミカンに手を合わせ、皮を剥き始めた。冬になったなあと思う。こたつにミカン。俺もついうっかりぐうたらしてしまう。人の家なんだけど。