「……土曜日の感慨を返してくれないか」
「ん、それは菜月さんの都合だろう? 仕方ないよね、ノリって大事だよ」

 とうとうMMPの今期の活動は最終週を迎えて残り3回だ。その月曜日、アナウンサー席に立てられたマイクが2本。座るのは、圭斗先輩と菜月先輩だ。ここまではいい。ミキサー席には俺と律。これから始まるのは年末特番の収録……ではなく、昼放送の特番だ。

「やァー、ノリと勢いって大事だと思うンす?」
「りっちゃんめ、早々にノサカとかいう犬から落としやがって」
「野坂ほど扱いやすい犬はそういないスわ」
「律め、人を犬扱いしやがって」
「菜月さんを落とすにはまず彼女の忠犬からというのをよーくわかっているね。さすがりっちゃんだ」