「フミ、アンタこーた君が来るって言うのに掃除のひとつもしてなかったの?」
「通常運転でイケると思いました」
「ちょっと酷すぎるから、布団上げて簡単にでいいから片付けなさい」
「こーた、手伝え」
「友達に手伝わせるって」
「いえ、お邪魔させていただきますし、お手伝いしますよ」
「そう? ゴメンねこのドラ息子が」

 年の瀬の野坂家にどうしてこーたがいるのかという話である。簡単に言うと、家族旅行からハブられたのだ。厳密に言うと、弟(高3)の彼女(中3・ハーフ)の家の年越し家族旅行に招待された神崎家だったワケだけど、こーたはバイトもあるし旅行を辞退したのだ。
 バイトがあるのも本当だけど、旅行を辞退した理由は弟の彼女とはそんなに仲良くないし、むしろ簡易的に分けただけの部屋でいちゃいちゃしているのを日頃から聞かされているので我慢が限界に達しているし、年末のオタ活を充実させたいという理由だ。