「ク、クラゲ…?」
「まさかこんなに早く“現実逃避”の機会が訪れるとは思わなかった……」

 何が起こったか、突然裕貴がうちにやってきた。そしてそのままDVDデッキに何かをセットしたかと思えば、映し出されるのは延々とクラゲがたゆたうだけの映像。それを、体育座りで眺めている裕貴というのはとてもシュールな光景で、俺に一体どうしろというのだと。

「きっとかんなさんは冗談めいてこれを俺にくれたんだと思うが、まさか本当にこんな用途で使うとは思わなかった。無意識にこれを手にここに向かっていたんだ。雄平、悪いが少し付き合ってくれ」
「まあ、それはいいんだけど。つかこのDVD、かんながお前によこしたのか」
「一昨日、かんなさんと一緒に水族館に行ったんだ。その売店でかんなさんが“お友達記念”という名目でくれた物だ」