夏合宿が終わってしまえば対策委員の活動も頻度がガクンと下がり、バイトもしていない俺はただただ暇な夏休みを謳歌していた。いや、何もしていないワケではなく普通に勉強をしたりして過ごしてはいるのだけど、それでもやっぱり暇には暇で。
 そんな時にこーたから「世音坂にでも遊びに出ませんか」と誘いがあるのは本当にありがたいなと思う。夜メインとは言えこーたはバイトをしてるから、遊びの誘いを入れて来るのは基本的にこーたの気分次第って感じで俺は受ける方。今日も例によって暇を拗らせていたからもちろん出ますとも。

「来週の今頃はオープンキャンパスかー……まともに番組が出来る気がしない」
「あなたはヒロさんと打ち合わせが出来ているだけまだいいじゃないですか。私なんて打ち合わせすらままならないんですから」
「三井先輩も何気にいい加減な人だからな」
「なんなら野坂さんの超弩級に悪質な遅刻癖がまともに見えてきますよ。どれだけ遅れても、必ず現場には現れるじゃないですか」
「こーたドンマイ。可哀想だしういろう奢ってやるよ」
「ありがとうございます。恐縮です」