オープンキャンパス当日。MMPは学食の一角をお借りして2時間の公開生放送をやらせてもらっている。怪しい空模様の中、圭斗先輩の車で機材を食堂まで運び、簡易DJブースを設置。事前に決めた番組順の通りにスタンバイしていく。
 圭斗先輩と菜月先輩の独断と偏見で決めたペア順によれば、何とトップバッターが俺とヒロのペアだという。なんてこったい! ちなみに、番組は11時半から1時半までやるんだけど、人が多い時間帯に菜月先輩を持ってくるというのは圭斗先輩のナイス采配だと思います。
 まあ、トップバッターが悪いことばかりでもないんだ。誰もいじってない状態のミキサーで番組を始められるとかいろいろある。エフェクトのつまみや、特にマイクのゲインかな。いや、人が替わる度に調節はし直すんだけど、それでも何かこう、気持ち的に。

「ヒロ、ゲイン合わせるぞ」
「えー、もう声出すん?」
「こっちは他にもいろいろやることがあるんだ。わかってると思うけど、ゲイン調整と本番で声を変えるようなことはするなよ」
「同じ声出すとかそんなんムリやん」
「ムリじゃない」
「普段話すときの声やったらアカンの」
「ダメだ」
「何やのノサカのケチ! いけず!」
「おっ。やれば出るじゃないか。今のトーンで番組も行こうか」
「やからムリやってば!」
「出てる出てる」