大学祭の頃に提出したゼミ希望届。第1希望から第3希望までを書いて、ゼミによっては必要になる専用エントリーシートを添付したりして提出するそれだ。その届を出したことも少し忘れかけていた頃、社会学部のお知らせとして「新2年生所属ゼミ掲示」という項目が加えられていた。
 俺は鵠さんと一緒にその掲示がされている社会学部棟、5号館に足を運んだ。学部のお知らせはスマホアプリになってるのに、所属ゼミの発表は学籍番号が書かれた紙が掲示されるという、かなりアナログな方式。まあ、これくらいなら紙の発表でも問題ないのかな。

「えーっと……あっ、あった」
「俺もあった。はー、学科違うからどうなるかと思ったけど、無事に通れたじゃん? よかったよかった」
「鵠さんは面談に行ったときも好感触って感じだったじゃない。俺は成績で弾かれないか不安で仕方なかったよ」
「それを言ったらお前こそMBCCのミキサーなんだから即戦力って感じでヒゲさんも言ってたじゃんか。……まあ、成績が不安なのはわかんないでもないけど」
「何はともあれ、よかった」
「祝勝会じゃないけど、合格祝いに何か食うか。学食だけど」
「いいね。小腹が空いた頃だったんだ」