今日は、大石君がバイトをしている関係のファミリーセールに菜月と一緒にお呼ばれをした。大石君にとっては年に3回か4回の大きな買い物の機会ということで、とても気合が入っているように思う。とてもハツラツとしていて、いつもより元気と言うか。
 スポーツブランドを主に扱っているセールだそうで、私が普段着る服とは全く毛色が違う雰囲気に、何をどうしようかと考えるのに忙しい。菜月は元々スポーツをしていただけあって、ジャージやスポーツウェアに目を輝かせている。どれがいいかなと見ている様がとても可愛い。

「……2人、お揃い…?」
「本当だ。でも、ネイビーしかなかったんだ」
「うん。このカラーだけたくさん作ってたんだろうね。でも、本当にやっすい。4800円はそうそうないよなっち」

 壁側に出来ていた黒山の人だかりに突っ込んで行った大石君と菜月は、見事にネイビーのダウンジャケットを獲得して帰って来た。それまで人が埋め尽くしていた場所は、全部剥かれて見事に何もなくなり、人も捌けて行った。
 私は白いパーカー、黒とピンクのジャケットにセーター、それから汚れ品だという白いスニーカーを買った。菜月は例のジャケットとニット帽、それからニットワンピースを買っていた。大石君はスウェットを始め、水着に靴にととにかくたくさん。