空調やパソコン、機械の待機音に掬われる意識。悪い夢を見たときほど、この無機質な音が温かく感じる。ゼミ室は暗く、その場では誰も活動していないように見える。時計を見れば、午前4時前のこと。
 暗がりに慣れてきた目で床に目を落とせば、ハーフケットを纏い徹とリンが眠っていた。徹はともかく、リンが仮眠を取るということも最近では珍しい光景で、本当にそこに在るのか、不安になる。
 私の見た夢というのが、リンが死んでしまうという不吉なもの。普段なら、夢の内容をスケッチブックに描くけれど、今日はそれをしたくない。たまにそういう夢を見ることもある。